飲みの席でくりなしていた書評がついに外の世界に飛び出した。
小倉 千加子 著 自分を守る為、否定するため、 姿を見せないようにしている自分が話しかける。 その声をナイトメアと呼ぶ。 家庭で虐げられ、外の世界にも自分の居場所が見つからない。 作られた自分を演じ、なんとか保つ社会性を抱えた女性の物語。 本当なのか、嘘なのか。 手紙が語るその内容だけが、生活を現実のものにする。 読み終わった後、 ずしんと響く、黒い影が腹の中に残る。 読むタイミングを間違えないように気をつけてください。 |
宮部みゆき著作の本です。 二つの視点から描かれた作品です。宮部作品の特徴のひとつです。 記憶喪失の男女が、成り行きで知り合った隣人と協力して、自分たちの記憶を取り戻すため、ある事件へ巻き込まれていく。 そして、もうひとつ、謎のことば「レベル7まで行ったら戻れない?」。 この言葉によって、一人の女性カウンセラーが事件へ介入していく。 4日間に起こった内容を二つの視点を並行に物語は進んでいく。 そして、ある事件の真相が明らかになった段階で、二つの視点は ひとつのものとして動いていく。 レベル7の意味も、その事件に関連したものとして描かれている。 世の中の黒い部分を小説という形で表れているという作品のように 思えます。 宮部作品がお好きな方、手にとって読んでみては。 すでにご一読の方、再度呼んでみては? また違った感想が出てくると思います。 |
宮部みゆき著作の現代ミステリー小説です。 殺人事件を追っているうちに被害者の背景には、現実の家族以外に ネット上に家族を持っていたというものがあった。 被害者は、ネット上で「お父さん」を演じていた。 そして、このネット上の擬似家族を行っていたことで、ネット上の 家族が一同に会することになる。 事件は、思わぬ方向に向かっていくことになる。 宮部作品の多くは、先に結末を知っていると、あまり面白くない ところがある。 決して、最初に結末を読まずに作品を読んでいくと、思わぬところで 著者に欺かれてしまう。 かなり古い作品なのに、いまだに色あせないこの作品。手にとって 読んでみるのもいいかもしれません。 |
上野 輝弥 著 2種ずつピックアップした魚を比べ、 どのような進化の過程を経て、 現在に至り、また、どのような生態を持っているのか。 を、簡単に紹介している本。 日本の魚とは言うものの、 正確には、日本の魚のごく一部。 と言ったところである。 それでも、非常に含蓄に富み、 絵も豊富に魚の形状を伝えてくれるので、 興味を持ち始めた人にはうってつけの本である。 ただし、生半可な興味だけで読むと、 理解に苦しむ可能性はある。 遊びなら、釣り人よりはダイバー向けといったところである。 |
恩田 陸 著 安楽椅子探偵が日常接する事件を推理、解決してゆく短編集。 人の行動って、必ず意図がありますからね。 それを一寸推理してみるのも面白いかも。 なぜ人は本を読むのか? 時間をつぶすため 知識を吸収するため 疑似体験をするため 自分の印象のため 腕力の強化のため 本屋の娘さんに会うため 娯楽のため きっと、他にもたくさんあるんでしょう。 あなたはどんな理由がそこにありますか? |
樋口 有介 著 警察にて経理畑をずーっと、歩いてきた一人の男が、 定年を期に、あこがれていた私立探偵家業をはじめる物語。 バイブルは探偵小説。 飛び込んでくる事件は、 金魚の誘拐や、犬の横恋慕の手助けばかり、 それでも、ハードボイルドを決めるべく、 若い助手と日夜、仕事の電話を待っている。 「林檎の木の道」から2年後の作品ながら、 後の作品に通ずるものが感じられなかった。 むしろ「林檎の木の道」の方が、面影がある。 そういうことを考えながら読むと、 一人の作家を追い続けるのは非常に楽しい読書の仕方である。 |
樋口 有介 著 突然短い命を絶った、 元彼女の死をめぐり、 幼い記憶で繋がる若人が、謎を解き明かしてゆく物語。 この作者のミステリは、 読んでいて分かりやすいから実に良い。 捜査に皆さん協力的だし、 とんとん拍子に事が進む。 そして、設定が基本的に同じである。 謎解きの主役は知的で、理屈っぽく、 他を寄せ付けないように見えて、意外ともてる。 それを手助けする女性は線が細く、 完全なる美人とは言えないまでも、整った顔立ち。 舞台は夏、もしくは暑い地域。 暇をもてあましているときに、事件が起きる。 そして、かならず決まったフレーズを女性が…。 言わない。 これだけ前の作品であって、 現在とここまで設定が一緒なのに、 あの言葉が出てこない。 う〜ん。 あの言葉はいつから出てきたのだろうか。 あの言葉が気になる方は、 新しい物から読み漁ってみてください。 |
伊東 明著作の本です。 いかに人間とは、欲望に弱いかを書いてある本です。 その欲望につけこんだだましのテクニックが書いてある本ですが、 実際、書いてあるテクニックを使用する事は難しそうです。 人と対等に交渉する際、これらを知識として持っていれば、いざ 相手から要求のあったことを回避できるための手段の本として 読めば面白いかもしれません。 人付き合いで失敗している人、人付き合いが苦手な人には、手にとって 読んでみて損はない本だと思います。 |
宮城谷昌光著作の本。 時は、中国春秋時代。強国晋の臣に趙氏がいた。この本は、その趙氏の興隆を描いた作品である。 この趙氏一族から、何人かをピックアップし、それぞれを主人公として描いている短編集です。 本の内容としては、それぞれの主人公が抱える悩み事、さらに上に立つ人の宿命として周囲からの圧力、ねたみ、嫉妬にまみれた世界で、どんな人生を歩むべきか、といういかに優れた人間、恵まれた人間にも苦悩はつきまとう。歴史では、語りつくせない人間くささがある作品のように思いました。 辛口な観想を言えば、もう少し引っ張ってほしい部分もあったので、少し消化不良を起こしそうな作品にも感じました。 まぁ、でも全体的にはとても面白い本です。 |
山本 幸久 著 星が輝いて、思ったより近くに見えて。 夜の電車に揺られ、ユウキのある蝙蝠に 背中をおされる話。 (色々違う気もするけど、端的に表現できないから抽象で…) おそろしく簡単にいうと、 小学生の女の子が、大人の階段を上る話。 これ以上どう説明すればいいのか分からないので、 以下はおっさんの主観的感情論。 主人公は小学生なのだが、 こういう本を読んで、 「自分が主人公だったら…」 と、言うことを考えなくなってずいぶん久しい。 どちらかというと、添え物キャラになる 両親であったり、周りの大人に当てはめようとしてしまう。 こういうのを世間では大人になったというのか、 もしくは老け込んだというのか…。 女の子は読んだから面白いかもなぁ。 私もいつかはこういう子供を育てよう。 という、一冊。 |












